本学では2008年に、地域の認知症高齢者等を支援する市民後見人を養成することを主要な目的として、市民後見人養成講座が開講された。その後、昨年(2013年)までの6年間の間に、1期から6期にわたる講座が開催され、計2303名の修了生を輩出した。
これを受けて当プロジェクトでは、本年度(平成26年度)も引き続き、これまでの実績やノウハウに基づき、その内容をさらに充実させて、市民後見人養成講座を開講する。
当講座の内容としては、概略、以下の通りである。
講座のカリキュラムは、厚労省モデルカリキュラムに準拠しつつ、履修時間、科目、実習等をより充実させることにより、効果的で内容の深いカリキュラムを編成している。
講義は、後見に携わっている各分野の第一人者や後見を実践している実務家などを各方面から講師として招いて、実務的で実践的な講義を実施する。
講座は、座学と実習によって構成された体系的プログラムとなっている。座学と実習の具体的な内容としては、次の通りである。
座学においては、「成年後見の制度・法律」、「対象者の理解と接し方」、「財産管理や身上監護等の後見業務」、「実際の後見活動の事例」、「医療・介護・年金等の関連制度」、「行政や家庭裁判所等の役割と実務」などを学び、必要な知識を身につける。
他方、実習においては、「施設体験実習(介護施設や障害者施設等へのインターンシップ)」、「後見実務演習」、「地域の社会資源の調査」などを行い、実践的な経験を得る。
講座の履修時間は計124時間(座学74時間+実習50時間)となっている。規定カリキュラムのすべての課程を履修した人には、学校教育法に基づいて、東京大学より履修証明書が交付される。
当プロジェクトでは、市民後見人養成講座の修了生を対象として、より発展的で実務的な知識を習得してもらうことを目的に、フォローアップ研修を適宜、開催している。
本研修の開催は、これまで多くの修了生から、より発展的な研修の実施が要望されていたことに基づいている。また、修了生を対象に研修を実施することは、当プロジェクトの教育等に関する実証研究に資すると期待されている。
本年度(平成26年度)は、「発展的実務講座1」および「発展的実務講座2」を2日間の日程で開催する。
研修の内容としては、概略、以下の通りである。
「超高齢化時代における地域社会の在り方」、「法定後見の実務(専門職から見る後見活動の実務)」、「任意後見の実務(公証役場における任意後見契約作成の実務と事例)」、「家庭裁判所の実務」、「後見活動の事例(修了生のNPO法人による後見活動事例など)」、「後見および認知症に関する動向と展望」などの講義が行われる。
当研修において、後見の実務や事例に関する知識をより深め、また後見に関する近年の動向や今後の展望を知ることによって、修了生たちが、日々の後見活動やその他の社会的な活動をさらに促進・発展できるものと期待される。
※なお、市民後見人養成講座およびフォローアップ研修は、開催にかかる実費相当
として受講料が設定されています。